アンカーボルトとは機械や柱などをコンクリートに固定する為に使われるネジの事です。
建設や土木、機械設置などの現場でよく使われます。
アンカーボルトには様々な種類がありますので、今回はアンカーボルト種類別の特長や用途に合った物の選び方をご紹介します。
- 1.アンカーボルトの種類(用途)、施工方法
- 2.アンカーボルト施工の注意点
- 3.まとめ
アンカーボルトの種類(用途)、施工方法
1.芯棒打ち込み式アンカー

オールアンカーとも言われているアンカーボルトです。
名前の通り芯棒を打込むだけの簡単施工なのが特長となります。
施工完了が一目で分かり、取付物の上から、直接施工ができる点がメリットとなります。
[用途]
手すりの取付、支柱の固定、ブラケット固定、設備架台取付、など
【施工方法】
下穴をあける(穴の中をブラシ等で清掃する)
↓
ナット、座金を組み付けたアンカー挿入
↓
ハンマーで芯棒を打ち込み
↓
最後にナットを締め付ける
2.グリップアンカー

グリップアンカーも芯棒打ち込み式アンカーと同じくコンクリートに打ち込み固定するアンカーとなります。
違いとしてはグリップアンカーは雌ネジの為、ボルトで固定する形となります。
グリップアンカーはボルトを外せばアンカーが目立たないので作業時の安全性が向上するのと見た目がスッキリするというメリットがあります。
[用途]
石膏ボードを天井に固定、空調ダクト取付、足場の取付、配管吊り金具の取付、など
【施工方法】
下穴をあける(穴の中をブラシ等で清掃する)
↓
ナット、座金を組み付けたアンカー挿入
↓
ハンマーで芯棒を打ち込み
↓
最後にボルトを締め付ける
3.ケミカルアンカー

ケミカルアンカーとは、接着剤と硬化剤が入ったカプセルを穴の中で割り化学反応によりボルトや鉄筋を固定するアンカーです。
特長としては、全面接着するので強度(特に剛性)が高く、耐振動性に優れています。
[用途]
耐震補強工事、強度が求められる構造物の固定、など
【施工方法】
下穴をあける(穴の中をブラシ等で清掃する)
↓
カプセルを挿入
↓
ボルトを打ち込みカプセルを破砕
↓
硬化を待ちナットで固定する
4.ボードアンカー

ボードアンカーとは石膏ボードや中空壁などネジや釘が使えない物に器具などを固定する時に使います。
ボードアンカーは、一度取り付けると簡単に取り外せないものが多いため、取り付け位置は慎重に決めなくてはいけません。
【施工方法】
下穴をあける
↓
ボードアンカーをゆっくりと押し込む
↓
壁についたらドライバーでネジを回し続ける
↓
金具が広がり固定される
5.溶接用アンカー

溶接用アンカーとはコンクリートに金属の溶接をする為に使われます。
ネジは切っておらず出ている頭部にそのまま溶接して使います。
施工は簡単で様々な金属に溶接でき、強固に固定が出来るという特長があります。
[用途]
各種金物の固定、シャッター枠、ドア枠、窓枠、などの固定
【施工方法】
下穴をあける(穴の中をブラシ等で清掃する)
↓
溶接アンカーの挿入
↓
ハンマーで打ち込む
↓
アンカーが広がり固定される
6.トルコンアンカー

トルコンアンカーとは締め付けアンカーと言われていてオールアンカーに似ていますが、こちらはナットを締め付けてアンカーするタイプになります。
トルコンアンカーは引っ張り方向に強いというメリットがあります。
[用途]
天井配管、医療機器、空調機器、機器設備、などの固定
【施工方法】
下穴をあける(穴の中をブラシ等で清掃する)
↓
トルコンアンカーのナット上面と本体のテーパー部に合わせてセットする
↓
ハンマーで叩きながら挿入する
↓
ナットを締め付けて固定する
7.プラグレスアンカー

プラグレスアンカーとはコンクリートなどに直接使用出来るコンクリート用のネジになります。
プラグを使わない為、小径の下穴で済み、頭部も目立たず施工が綺麗に出来るというのがメリットとなります。
[用途]
コンクリート、モルタル、木材、レンガなどに配管や機器を固定する為に使います。
【施工方法】
下穴をあける(穴の中をブラシ等で清掃する)
↓
固定したい物をセットしドライバーなどでプラグレスアンカーを締め付ける
↓
最後までねじ込み固定完了
アンカーボルト施工の注意点
アンカーボルトの施工時の注意点として、穴あけ時石膏やコンクリート片が飛散し失明などの危険がありますので、安全保護具の着用は必須となります。
取り付け部分の形状、材質、取り付け場所、荷重、取り付ける相手の強度、安全率などを充分に確認して、使用目的に適したアンカーを選ぶ必要があります。
また、コンクリート取り付け部の強度など施工環境の把握も必要となります。
アンカーボルトは種類が多く、施工方法も商品によって異なりますので、取扱説明書をしっかりと読み、安全に関する注意事項等も確認して正しく御使用下さい。
まとめ
アンカーボルトは、機械の固定、建築や土木分野で欠かせない部材です。
打ち込み、締付け、ケミカルといった多様な種類があり、用途や条件に応じて適切な選択が求められます。
設計時には許容荷重や埋め込み長さを正確に計算し、長期的な安全性を確保しましょう。
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