物流現場で欠かせない「パレット」は、効率的な荷物の運搬・保管を実現する重要なアイテムです。
倉庫や運搬の現場で必ず登場するパレットですが、「木製・プラスチック・金属・紙」どれを選んだら良いか悩む方は多いはず。
本記事では、これからパレットの導入を検討している方、選び方に迷っている方へ向けて材質・サイズ・用途別に物流パレットの種類のオススメをわかりやすくまとめます。
パレットとは?
パレットは、荷物を載せて保管したり、フォークリフトやハンドリフトで荷物を運ぶための荷台です。倉庫や輸送の効率化、省人化、標準化を図る上で不可欠なアイテムとして、多くの業界で使用されています。
パレットを使うことで、一度に大量の荷物を効率よく運搬・保管することが可能になります。
材質別パレットの種類

木製パレット
・特徴:最も一般的で価格が安く、修理、リサイクルが可能、荷重にも強い
・デメリット:湿気・虫害に弱く、ささくれ・カビの発生がある、釘での怪我の危険あり
・用途:国内輸送、倉庫内の一時保管などに最適
(破損時の修理方法)
1.破損個所の確認
・釘が飛び出している場合は、ハンマーで打ち直すかペンチで抜き、新しい釘を打ち直す。
・板が割れている場合は板を交換します。(新しく用意する板は同じ厚み、幅の物が必要です。
・桁(パレットの脚の部分)が破損している場合は業者に依頼するか新しく購入した方がいいです。
2.板の交換方法
交換したい板をバールなどを使い剝がします。
次に剥がした時に残った釘をペンチで抜き取ります。(抜けない場合は、ハンマーで桁の中まで打ち込みます)
最後に用意した新し板を釘で固定すると完了です。
プラスチックパレット
・特徴:軽量で耐水・耐薬品性に優れる、清掃も容易で衛生的、リサイクルも可能
・デメリット:価格が高め、重荷重には注意、損傷時は修理が難しい
・用途:食品・医薬品業界、クリーンルーム、輸出用など
金属製パレット
・特徴:耐久性・耐荷重性が非常に高い、長寿命、火気にも強い
・デメリット:重く、コストが高い、加工もしづらい
・用途:重量物の輸送、大型設備の保管、特殊環境用など
紙製パレット(段ボールパレット)
・特徴:非常に軽量、リサイクル可能、輸出向けに最適
・デメリット:耐水性に乏しく、耐久性も低め、荷重の制限もある
・用途:航空輸送、単回使用の輸出、使い捨ての用途
複合材パレット(櫢脂+金属等)
・特徴:機能面と耐久面のバランスが高い、カスタマイズも可能
・デメリット:コストが高い、廃棄、分別が大変
・用途:特殊用途、高級品輸送、長期利用目的など
形状による種類
・片面使用型パレット(片面二方差しなど)
表面の形状と裏面の形状が違うパレット
(メリット)
軽量化による輸送コストの削減と、ハンドリフトでの作業が可能
表面は荷物を載せやすいように平らで、裏面は隙間があるため、軽量化され、ハンドリフトでの作業が容易
・両面使用型パレット(上下どちらも使える)
裏表どちらも形状、強度が同じパレット
(メリット)
裏面も使用できるため、パレットの向きを気にせず荷物を積み付けたり、フォークリフトで移動したり出来る
裏面も平らな形状のため、段積み時の安定性が高く、荷崩れのリスクを軽減
・ 四方差しパレット
フォークリフトの差し込み口が4方向にある
(メリット)
フォークリフトの爪をどの方向からも差し込めるため、作業効率が向上する。
限られたスペースや複数人で作業する場合に、パレットの向きを気にせず荷役作業を行えるため、作業の柔軟性と効率性が高まる
・ 二方差しパレット
差し込み口が2方向だけ
(メリット)
耐久性が高い
木製パレットは、耐久性が求められるため、二方差しパレットが採用されることが多い
サイズ別パレット規格(代表例)
•JIS規格パレット
規格サイズ:1100×1100
日本国内の標準サイズ
•ユーロパレット
規格サイズ: 1200×800
欧州規格、国際輸送向け
•ISOパレット
規格サイズ: 1200×1000
国際標準規格
•北米規格
規格サイズ: 1219×1016
アメリカ・カナダ向け
•ハーフパレット
規格サイズ: 800×600
小規模・省スペース用
用途別のおすすめパレット
国内倉庫保管
•木製(コストパフォーマンス重視)
衛生管理が必要な現場
•プラスチック製(洗浄が可能で清潔)
重量物の保管
•金属製(耐久性・耐荷重性が抜群)
輸出・ワンウェイ
•紙製またはプラスチック製(軽量・燻蒸不要など)
パレット選びのポイント
パレットを選ぶ時には、「用途」→「材質」→「サイズ」で選ぶのが鉄則です。
また実際に使用する場面で使えないといったトラブルを防ぐ為に、下記のチェックポイントも確認しておくと良いです。
・取り扱う荷物の重量 → 軽量物か重量物か(荷物の大きさ)
・輸送手段 → 国内のみでの使用なのか国際輸送はあるのか流通エリアの確認
・保管環境 → 屋内、屋外どちらでの使用か、湿気の影響や衛生環境などの確認
・コストと耐用年数のバランス → 使用回数が少なく安価な物で良いのか、常に使用する為、耐久性が高い物を選ぶのか
・衛生管理要件の有無 → 清掃が可能でゴミが出ない物が必要なのか
・パレット回収の有無(ワンウェイ or リターナブル) → 一回のみの使い捨てで良いのか、再利用の必要があるのか
・対応する機材(フォークリフト、ハンドリフトなど) → 対応する機材での運搬が可能かどうか
不要になったパレットの処分方法
ここまで説明した通りパレットは物の保管や運搬に非常に役に立つアイテムですが、不要になった時にどう処分したらいいか困ることもあると思います。
パレットは産業廃棄物になる為、一般的なゴミとは処分方法が異なります。
しかし面倒だからといって無断で捨てると不法投棄で罰せられてしまいます。
なので、ここでは不要になったパレットの処分方法を紹介したいと思います。
【パレットの処分方法】
1.納入元に引き取ってもらう
こちらは自分が用意したパレットではなく、物が納品された時に一緒についてくるパレットに対しての対策ですが、納入元に相談してみると引きっとってもらえる場合があります。
(別途費用がかかったり、引き取り不可の場合もあるので確認は必要です)
2.パレットメーカーに引き取り依頼をする
パレットの製造メーカーに相談すると不要パレットの引き取りを行ってもらえる場合があります。
メーカーによっては回収方法が決まっていたり、持ち込みのみ対応だったり、回収可能なパレットの種類が決まっていたりするので事前に確認が必要です。
3.中古パレット業者に売る
パレットの状態が良ければ中古のパレット業者に買い取ってもらう方法もあります。
こちらの方法は業者によって買取条件がある為、少量だと不可の場合があります。
大量に綺麗なパレットを所持している場合は選択肢に入ります。
4.鉄くずとして売る(金属パレットのみ)
金属パレットはリサイクル資源としての価値があるので、売却できる可能性が高いです。
ただし汚れや腐食が酷いものは買取不可になる場合があるので事前に確認した方が
5.フリマなどのネット販売を使う
状態が悪くなければネット販売で売れる場合もあります。
ただこの場合は、いつ売れるか分からず、必ず売れるわけではないので時間が必要です。
6.産業廃棄物処理業者を利用して処分する
回収、処分は有料となる為、費用の見積もりは複数の業者からとると良いです。
7.不用品回収業者へ依頼する
こちらも費用が掛かりますが、パレット以外の不用品の処分が出来ます。
また日程の調整がしやすいといったメリットもあります。
※産業廃棄物を扱う許可を得ている業者かの確認は必要です。
8.個人利用の場合には自治体に確認する
木製パレットを個人として家庭で使用していた場合には、お住いの自治体に問い合わせをしましょう。自治体によっては粗大ゴミとして回収をしてもらえる場合があります。
まとめ
物流パレットには様々な種類があり、材質・サイズ・用途に応じて適切なものを選ぶことが重要です。
現場のニーズや予算を考慮しながら、最適なパレットを導入することで、物流の効率化やコスト削減につながります。
どの材質か迷った時には、まずは用途を明確にすることから始めましょう。
食品か?重量物か?輸出か?これだけで候補は半分に絞れます。
適当に選んでしまうと余計にお金がかかってしまったりするので、しっかりと自分の目的に合ったパレットを選ぶようにしましょう。
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